二度目のMCFAJ 8

やっと本気になったのか、短くカットされたサイレンサーから、KXが耳障りな高音を吐いている。せいぜい、あと一周・・・その差は、コーナーひとつ分よりも離れている。ここまできて、簡単に前を獲られるわけにはいかない。まさか最後の2分で追われようとは・・・思いもしなかった。無理をしてコーナーのインに寄り始めると、マシンの内側に体が落ちて、調子が狂う。体に染みついた、峠を走っていた頃の名残は・・・今ではすっかり悪い癖だ。焦ると顔を出してくる癖、すでに“飲まれて”いる。フープスから出て、気持ちを入れ直すように、RMと大きな弧を描く。そして、続くスネークへの右バンクは小さく回るRM・・・真後ろで、ryoがバンクの上に緑の車体を寄せている。好みのラインに似た軌跡のワダチを抜けて、坂のてっぺん・・・左に切り返すと、#1のフロントが、少し遠くに映った。チェッカーを広げる係員の姿も、ここからだとよく見える。そのまま坂を下り、3つのコブを2回でさばいて、フィニッシュのテーブルトップジャンプを外側から跳び出す。着地してすぐに白と黒の格子模様が揺らめいて・・・出来過ぎた“12 分”が、ryoの目の前で終わった。

<とりあえずここまで。記憶が失せないうちにレースの話ができれば・・・また後日に>