2011年最後のレース~その6

<12/8の続き>

右手も左手も、今日は冴えていた。コの字型した灰色のバーを、コンクリートの台座に落ち切る前に、フロントタイヤがまたいでいく。両脇にマシンが居ないってことは・・・上手く出られたはずだ。RMも傾くことなく、まっすぐに第一コーナーを向いている。右手を少しだけゆるめて、ちょこんとクラッチレバーを握って、左足でシフトペダルをかき上げる。二速、そして、全開・・・迫る右コーナーに、視界が少しずつ狭くなる。今日は、思い切りがいい。三速、そして減速・・・左手で半クラッチを当てて、右に曲がる軌跡にRMを寄せていく。前には誰も居ない。泥のはがれたアウトバンクが、陽射しに明るく照らされていた。その上をなぞるようにして、RMが翻り、テーブルトップジャンプを跳び上がる・・・視界には静かな路面が映るだけ。ホールショット!今年一番の出来だ。

爽快な気分と引き換えに、強烈な緊張感を抱えてレースが始まった。後ろにはmori-yanもtomobeさんも、そして何より、ryoが居る。こうなりゃ、いけるところまでいくしかない。追われて逃げる背中を、スネークで旗振りしている“Mr. G”が左手を振り回して、強く押してくれていた。オープニングラップ。一周目を“頭”で戻ってくる。machi-san、satakeさん、saitoさん・・・コントロールラインから届くみんなの声を背にして、その先、左コーナーを小さく折り返す。せっかくのホールショットをブチ壊さずに、少しはいいところを見せられたかな?まだ緩い“センター”を避けるように、インベタからまっすぐにホームストレートを立ち上がる。すぐ後ろには、音色の異なる二つの排気音が、ぴったりと張りついていた・・・。

<レースはここから・・・次回に続く>