2011年最後のレース~その8

少しずつ離れていくのは・・・底力の差だろうか・・・。振られても前に進むCRF150RⅡ。次第に薄れる低い排気音の上に、2サイクルの高音が耳障りなくらい響いてきた。「ryoか」。逃げていくmori-yanを追うには、ずいぶんのんびりと、RMの後ろに着いている。そんな余計なことを考えれば考えるほど、視界にある背中がどんどん小さくなっていく。

せせこましいインフィールドで唯一気持ちよく跳べるステップダウン、横風を計算してアウトに立ち上がったまま、右寄りの斜面から跳び出す・・・わずかに流されたRMがテーブル“トップ”から一つ下がった“ステップ”に着地。そのままアウトバンクへ遠回りして、一つめのコブにフロントフォークが縮み始めた時だった。視界の端にマシンが割り込んできた。mori-yanと同じ、イン側を攻め上がってきたのは・・・ただ、緑色のマシンじゃなかった。

同じところで、今度はtomobeさんに抜かれる。強引にアウト側へと弾き出そうとするやり方は、いつものことだから、わかっているのに・・・なぜか素直に譲ってしまった。コブの先に着地した新品のリヤタイヤが、ザッと路面を掻き上げる。瞬間、顎を引き、ヘルメットのバイザーでゴーグルをかばう。バイザーに土の塊が当たっては、打音を響かせて落ちていく。KXはまだ後ろ・・・インフィールドの短い直線の分だけ遅れている。続く右コーナーを立ち上がった先に、ステップダウンを跳び上がる緑の車体が目に入った。

<次回に続く>