2011年最後のレース~その12(終)

フィニッシュラインを過ぎて、左に折り返しながらテーブルトップの上に立つ。iguchi師匠に、目の前の出来事を短く話して、ホームストレートとは反対側にコースを出ていく。パドックに入ると、スネークヒルの下りで見ていたshinくんのお仲間に声をかけられた。深刻そうな声色の「大丈夫だった?」は、本当に心配そうに、そしてワタシに向けられていた。遠くからでも、かなり危険に映った“激突”は、親子でぶつかりあったように見えていたらしい。相手が、もう一台のRMだとわかると、興味が倒れたままのryoに集中する。「意識は?」と訊かれて「話してたから・・・大丈夫じゃないかな?」鈍らな返事をして、視線の中、RMをBongoの後ろへと走らせる。

tasakiパパの不安げな顔に送られて、今走ってきたパドックを、コースに向かい小走りで戻る。受付小屋を越えてから、左の方に体を向けると・・・陽射しを背に、こちらに向かって歩いてくる三人の影が見えた。バックストレートとインフィールドの間、スタッフに両脇を抱えらながら、とぼとぼと歩くのはryo。目の悪いところにもってきて、逆光とにじんだ瞳で・・・初めは担架に載せられているのかと勘違いしたけど、とりあえず自分の足で歩いているようだ。完全に安心して、“手ぶら”で帰ってくるryoに代わって、愛機KX85Ⅱを引き上げにスターティンググリッドへと歩き始める。広いグリッドの先、第二パドックへ続く細い通路を・・・mori-yanが、そのKXを押して歩いていた。

帰ってきたKX85Ⅱは、クラッチレバーを真下に向けて、ハンドルバーが左右の平衡を失くしていた。横に立つryoは、少し青白い顔で、エンジンやらフレームやらを覗き込んでいる。左の脇腹を押さえているのは、アバラをやっていたからだ。最後の二周は恐怖した・・・見ていた人が口を揃えるほどの走り。何かが取り憑いたような猛迫と、自分で“機会”を作って攻め切った潔さ。初めての“脳しんとう”も、いい経験になったはずだ・・・。すべてのクラスのレースが終わって、薄暗い中での表彰式。4台だけの「スーパー85/150」クラス、1台が“DNF”となれば・・・ゴールした三人が全員、ゴールした順とは逆に表彰台へと上がっていく。最後にmori-yanが“てっぺん”に立って記念撮影。“3”と書かれた表彰台の上から、その姿を満足そうに見上げるryoが映った。

そして、イバMOTO最後のお楽しみ、“ウェア抽選”で・・・何と#274を引き当ててくれたsaitoさん!2011モデルというのが、ちょっと残念だけど・・・ryoにはうれしい贈り物になった。また来年、さらにアツい走りで・・・今度は表彰台の真ん中だな、ryo!