あみプレミアムアウトレット 5

スターティンググリッドの前で、気前よく白煙をまき散らす。誰の眼も気にすることなく、RMのエンジンを暖める。そんなRMを横に見ながら、KX85Ⅱが第一コーナーに消えていく。第二コーナーからテーブルトップを跳び上がる車体が、太陽を正面にして緑色に光る。ようやく素直になったエンジンの回転を落として、ギヤを一速に入れる。すぐにクラッチレバーを半分だけ動かして、エンジンの回転を半分だけリヤタイヤに伝えてやる。上半身の重さがシートの斜め後ろにかかって・・・フロントを軽くしたRMが、渇いたホームストレートに駆け出していく。

ここは、慣れたホームコース。ブレない車体にも気を良くして、一周目から本気で走る。調子に乗ってmachi-sanの目の前、ステップアップで・・・“ロケットジャンプ”をやらかした。手前の右コーナーを回り損ねて、すべり出したRMのシートに座りなおしたのが良くなかった・・・。高く持ち上がったフロントタイヤに、上半身をかぶせるようにして着地。「あぶなかったねー」折り返したステップダウンを跳び出すワタシに、machi-sanが笑う。やっぱり、ここはホームコース。machi-sanの視線に送られて、イバMOTOの記憶が印された右コーナーから、短いテーブルトップジャンプを跳び上がる。

奥に広がる林まで、光の帯がやわらかくうねっている。すぐ前にマシンがいれば、軽く土埃を残していくはずだ。白く砂利の浮いた路面をリヤタイヤで踏みしめ、少し勢いをつけてコブを弾いていく。その先、太陽が林の中に隠れてしまって、冬の間、光を浴びることのない左コーナーは、黒く湿って見えた・・・。「ここは緩いか」先週までのぬるっとした記憶のまま、車体を左に傾けて右手を捻る。瞬間、前も後ろもほとんど一緒に外へと流され、フロントタイヤの脇に出していた左足で黒い路面を蹴飛ばしてやる。ブーツの底で、小さな泥のかけらがコロコロと転がり、路面に少しも引っかからない。「凍ってる」RMと一緒にワタシの体も・・・上っ面を逃げていった。

<次回に続く>