2011もそろそろ・・・ 3

最後の細い坂を下りて、くねった田んぼ道からコースを覗くと・・・9時を過ぎて走っているのはKX250Fが一台だけ。いつしか東南から雲の帯が延びて、薄灰色にコースの上を覆っていた。受付にsaitoさんとmachi-sanが体を寄せ合うように立っている。窓ガラスを下ろすと、温かい風に乗り、LADY GAGAの声が流れ出ていく。火照るぐらいに温まっていたせいで、外の風が頬に心地良かった。

「そんな薄着じゃ、外に出られないよ!」走行申込書を書いている脇から、厚手のジャンパーを着込んだsaitoさんがワタシの格好をなじる。確かにTシャツに深緑色の綿パーカーで、上半身は2枚しか着ていない。申込書を書き終えて、手続きをしてもらっている間も窓は開けっ放しだ。Bongoの中もだんだんと冷たい空気が占めてくる。BAY FMのWeather reportが伝えていたのか、「この冬一番の寒気に覆われて」「冬将軍が大暴れする」から「外出には持っている服の中で一番暖かい服で出かけてください」って、saitoさんが丁寧に教えてくれた。

その寒さで、パドックの入りも極端に悪い。そんな中、shinくんが仲間も連れずにマシンを下ろしていて、少し驚いた。先に到着しているiguchi師匠のハイエースは、藍色の車体が受付小屋の脇にあるコンテナにぴったりと張り付くように停められていた。今日だけ特別にsaitoさんが用意してくれた、“風避け”の特等席だ。#129を着けたCRF150RⅡと黒髪の美女、ラブラドールレトリーバーのクッキーは、もう外に出ている。その左横にBongoを合わせて、右手でエンジンを切る。

<次回、午前中のバトルに続く>