“7200秒”の中華三昧~後編4

<12/9の続き>

その後も、次から次へと華やかな料理が運ばれてくる。いつの間にか給仕は、亭主の息子らしき小男に代わっていた。さすがに六人の大人げない注文をさばくのに、忙しくなったとみえる。白くて丸いだけの大皿が、食卓の真ん中、どんどん積み重なっていく。ただ、笑顔で中華を味わっていたのも、一時間を過ぎる頃になると・・・箸につまむ料理が、小さく、少なくなっていた。六人の平均年齢は、“50”を優に超えている。さすがに大皿の上の料理も、冷めてしまうまで残るようになってきた。その境界線の下に居るワタシともう一人だけが、腰のベルトを緩めて、味のよくわからなくなった料理を、何とか胃袋へと流し込む。それでも、もう一時間・・・紹興酒を片手に幹事の注文は止まらない。

「締めは麺とご飯・・・その両方で!」まだ注文した料理が出そろってないのをいいことに、酔っ払いがいい加減にうそぶいている。よく見ると、小皿に盛られた“二回目”のキクラゲの卵炒めを、箸でくるくると回しているだけだった。紅一点を除いて、腹を天井に突き出し、動きの止まった男衆・・・その姿を見て、やっと幹事の口から「作ってなかったらキャンセルして」と、厨房に向かって声がかかる。二つ残っていた料理のうち、出てきたのはエビのフリッター・・・キャンセルできたのは、頑張れば何とか味わえそうな“ぎんなんの炒め物”の方だった。衣で倍以上にふくれあがったエビが運ばれてくるとは・・・もう笑うしかなかった。

<次回に続く>