2011もそろそろ・・・ 4

<12/25の続く>

後ろを受付小屋に押さえつけられているから、RMをそのまま降ろしていくとぶつけてしまいそうだ。ラダーの上で斜めになった黄色の車体を、iguchi師匠が後ろから支えてくれている。裏地がボアになったベンチコートを着込んでいても、足下から上ってくる冷気に鳥肌が立つ。灰色した壁を背に、縦に並んだRMとCRF・・・期待して待つ太陽は、いつまでも長く延びた雲に隠れたまま・・・まだ着替えていない師匠を余所に、今年最後のMX408へと走り出す。

「気分だけでも」・・・ローズ色のレンズに付け替えたゴーグルの先に、shinくんのCRF250Rが軽やかに跳び上がる。すべり始めているクラッチ板にはおあつらえ向きの西風が、砂塵を巻いてRMを包み込む。まばらに走るフルサイズマシンに交ざり、薄く桃色に映るアウトバンクに向かって、真っ直ぐ加速する。角が取れて高さも無くなってきた前後のタイヤが、いい加減な接地感で横すべりしていくのが、おもしろい。“疲れきった”RM85Lに、懲りずに半クラッチを当てて・・・第二コーナーを短く立ち上がる。

コーナーに溜まる砂が、進入と脱出を慎重にさせる。ゴーグルで幻惑された世界には、やわらかな光があふれていて、ついつい早めに、大きく右手が動く・・・と、途端にリヤタイヤが本来の仕事を諦めて、横を向く。いい気になっていると・・・寒空の下、痛い思いをさせられそうだ。ほとんどクラッチレバーにかかったままの左指は感覚が薄れて、右手も思いどおりには動かない。「心拍が上がれば」と我慢して走り続けても指先は凍えるばかり・・・。戻るか残るか迷いながら跳び上がったフィニッシュテーブル・・・そのてっぺんから、スターティンググリッドの前に佇むiguchi師匠のCRFが見えた。

<次回に続く>