風模様・・・

東の空に浮かぶ月と、星が二つだけ。遠く工業団地から届くナトリウム灯に、北の空がぼんやり橙色に染まっている。吹きすさぶ風は、空に向かって烈しい音を立てて、宵闇を深い蒼にしていく。安物のスニーカーは、かかとのところだけがすり減っていて、アスファルトの冷たい感触を直に伝えてくる。冬らしく荒涼とした夜が、すぐそこまで来ていた。明日の朝は、さらに冷え込むと言っていたけど・・・この風なら、霜が降りて凍ることはなさそうだ。

庭先に頭から突っ込んであるBongo。中には、KX85ⅡとCRF150RⅡが、すでにタイダウンベルトで固定されている。KXもCRFも、やけに傾げていて・・・荷室はいつもよりも狭く見えた。年が明けて一週間。RM85Lは間に合わなかったけど・・・ようやく初走りだ。行先は、もちろんMX408。今年のために用意した新色のブーツとVFX-W、そしてONEのウェアはRMが完成するまでお預けにして・・・いつもの“ひと揃い”をCRFの脇に積み込み、鍵を掛ける。引っかけたビニールサンダルが、素足に冷やかに当たった。