1991 Hockenheim~1

湿った日曜日が、冷たい空気に包まれている。昨日よりもマシなのは・・・気温がいくらか高いのか、それとも体が慣れてきたのか・・・それでも風は北から流れてきて、その度に手がかじかんでしまう。ちょうど一週間前、15日の日曜日も寒い朝だった。東の空がうっすらと雲に煙っていて、陽の差さない、凍える灰色をしていたことを思い出す・・・。

「少ないんだけど・・・微妙に、みんな、気合が入っているんだよね」machi-sanが言うとおり、関東選は、ここMX408から始まる・・・その初戦を見据えた連中が、すでに走り込みを始めているからたまらない。おまけに、凍った土の上には、たっぷり水を撒いてあるし・・・慣れないCRF150RⅡで血気盛んなフルサイズマシンと混ざって走るのは、ずいぶん緊張させられる。できるだけ速度を落とさないようにして・・・少しは走り方がわかってきたらしく、“アウトインアウト”で路面を駆けていく・・・。

午後になって、ところどころ油を敷いたようだった路面も、だいぶ均されてきた。スロージェットを回して、少し低速を太らせたCRF150RⅡが、喰い込むようにコーナーを回る。昼休みの間に、顔見知りのパパさんから借りたCRF250R用のステップを付けたCRF。幅が広くなったことよりも、5mmほど高くなったステップが、踏ん張った脚の力をそのままタイヤに伝えている感じがして・・・コーナーの立ち上がりが、とてもいい具合だった。

周回ごとに満足して、パドックへ帰る。先に戻っていたmachi-sanと椅子に深く掛けていると、走行時間なのにsaitoさんが近づいてきた。ちょっと暇しているのかな?「手前で戻しちゃうから・・・だから、あんな風になっちゃうんだよ、全部」と手厳しい一言。ジャンプで勢いが死んでしまうのを見逃さないのは・・・さすがだ。エンジンブレーキがほとんど効かないRMだとスロットルを戻して跳び出すところを、4ストのCRFで同じようにしていると・・・エンジンブレーキのおかげで瞬時に失速、跳び上がった途端に前下がりになるというわけだ。そのままmachi-sanとの間に落ち着いたsaitoさん・・・そこから三人で、昔話に花が咲く。

<つづく>