三田の夕映え

太陽は手の届くところしか暖めない。浅い光とコンクリートの影は、陽の差さない空間を作り、雪を半透明に残したままだ。その上にも、風が渡っている。高層ビルに囲まれていて、初めにやってきた風がどこから吹いてきたのかもわからない。やがて風は、空の青を狭くしている直方体の隙を抜けながら、大通りへ去っていく・・・。

目の前に女子高校生が四人、歩道を横一列に歩いている。灰色をした短いスカートと紺色のハイソックスの間が、陰の中で白く飛んでいた。見ていると、こちらの体が冷たくなってきそうだ。厚手のダッフルコートに、チェック柄のマフラーが首を数回巻いている上半身に視線を移して、ようやく安心する。にぎやかにゆっくりと進む彼女たちに近づくと、あらわになった白い肌にはブツブツと鳥肌が浮かんでいた。

高校生といっても、体は正直に“反射”している。風はきりりと吹いていた。それでも、胸を張って階段を上っていく姿は、若々しくて・・・丸めていた背中を少し伸ばし気味にして、彼女たちの後ろから第一京浜を渡っていく。跨道橋の上、道路とほとんど水平に走る光が、西側を向いたビルの窓を蜜柑色に染めていた・・・。