RM、復活。

体温が37度を切っただけで、すっかり陽は高くなってしまった。一日中、ほとんど寝ていたせいで、腰が痛くてたまらない。薄いレース地のカーテンから透けて見える空は、昨日と違って色が無く、どんよりとしていた。勢いよく半身を起こすと、少し頭がフラフラする。土曜日の朝食に買っておいたバナナを二本、食欲の戻らない胃袋に押し込める。そろそろ市販の風邪薬も役に立つ頃になっただろうか・・・黄色の錠剤を3粒、右手のひらに取り出して、コップに注いだ水と一緒に喉に流す。走れない分、せめて走れるようにしてやらなければ・・・フラつく頭のまま、ガレージに入って、オイルヒーターを点ける。

ガレージが暖まるまで待ってから、CRF150RⅡ、KX85Ⅱと続けて外に出して、壁際に寄り添うように並べてあったRM85Lを、ガレージの真ん中に持ってくる。ミッションオイルと冷却水の注入と、外装の装着・・・そして、左グリップの交換を残すだけとなっていたRM。そのグリップの交換が終わっていたら、土曜日に連れていく予定だったけど・・・週末まで作業ができずに、留守番が決まっていた。そのRMが引きとめたのか、結局、走れなかった土曜日・・・走れなくなった体に触れる裸の車体には、なつかしい感触があった。

グリップの真ん中ぐらいにカッターで切れ目を入れて、そこから脱脂洗浄剤の細い噴射ノズルを差し込む。噴射する度に、行き場のない圧縮された洗浄剤がグリップを膨らませる。そのすき間を広げるようにグリップをねじり、その先まで洗浄剤が届くようにする・・・そんなことを繰り返しながら、古いグリップを抜き取り、新しいものに付け替える。ミッションオイルを少し多めの0.6L飲ませて、冷却水も同じ量だけ、ちびちびと飲ませて・・・外装が取り付けられると、ガレージにいつもの“黄色”が帰ってきた。センタースタンドを外すと、オーバーホールしたばかりのリヤサスペンションがしっとりと車体を下ろした。

マシンを入れ替えるのに、ガレージの外へとRMを連れ出す・・・CRFに慣れた体に、その軽さは刺激的だった。ひさしぶりにRMで走れるのが、今から楽しみだ。