これがホントの走り初め 1

駅からの帰り道。セルフのスタンドでBongoにガソリンを入れて、同じ並びの食料品を安く売る店で朝食のレーズンボールとバナナを買って、家に到着するちょっと前、知り合いに「明日の“買い出し”してたら、電話するのが遅くなった」と言い訳して・・・それは、ちょうど一週間前の金曜日の夜と、まったくと言っていいくらいに同じことの繰り返し・・・ひとつも変わらなかった。先週と違っていたのは、その後。表の車庫にBongoが停められて、マシンが二台、荷室に夜積みされたことだ。ひと通り準備を終えて、先週よりも少し早い時間に、二階へと上がってベッドにもぐりこむ。体の調子は・・・悪くない。

夜中にひどい悪寒で起こされることも、強い吐き気に襲われることも無く、無事に朝を迎える。まだ眠たい体を布団から追い出して居間へ降りていくと・・・keiが早番だったおかげで、いつもなら冷えきった部屋が、ほんのりと暖かい。20分とコーヒー2杯をかけ、ようやく動くようになった体で、シロとネロを散歩に連れ出す。玄関を出てすぐ、おしっこが終わると・・・お決まりの全力疾走が始まった。いつもの順序で田んぼ道を回っていると、だんだん心拍が上がってきて、体も温まってきた。家に帰って、冷蔵庫に入れていたスポーツ飲料とコーヒーのペットボトルを積み込んで・・・7時10分ちょうど、一人Bongoの運転席に乗り込んだ。

運転席の真後ろ、白地のゼッケンプレートに数字が3つ並んでいる。2・7・4・・・今年になって初めて、RM85LがBongoに積み込まれた。前後にIRCの新品タイヤを履いた黄色のマシンは、新春にこそ相応しい出で立ち、とてもきれいだ。その横でルームミラーに映るのは、#357のCRF15RⅡ。年が明けてから、まだ一度もRMとKXは乗り合わせていない。CRFと“ナノハナ”の組み合わせは、どうも収まりが悪いようで・・・うまく固定できない。KXの時もそうだったけど、RMでもそれは同じ。張力の不足したタイダウンベルトは、Bongoが道路の凸凹を拾う度に、二台のマシンを左右に大きく揺らせていた。

<つづく>