これがホントの走り初め 7

「乗り慣れてないんだし・・・」さすがに着いてこられる訳は無いということらしい。それはそうだ、師匠なんだから・・・それほど甘くは無い。そう言えばmachi-sanもこの前、こんなことを言っていたっけ・・・「CRFだと、まだ後ろ姿が見えるから」と。正直に言えば、今、RMを出してきても同じ感じで走れるかどうか・・・パドックに戻って愛機の横に佇みながら、ふと、そんな思いが胸を過る。11時45分・・・ラインを選べば、路面もしっかりしてきている。弱気な自分を吹っ切るように、午前中の最後、RM85Lの青いシートに腰を落として、キックペダルをちょこんと踏みつける。チョークノブを引いたエンジンは、文字通りキック一発で火が入り、真っ白な煙を盛大に吐き出した。

何かに引っかかったように吹け上がらないエンジンのまま、スターティンググリッドの前で・・・くるくると小さな円を描く。昼休みが近くなってコースを走るマシンも少なくなったらしく、排気音も遠くからまばらに聞こえるだけ。慣らしにはちょうどいい。右手に神経を集中させて、第一コーナー・・・吹け上がろうとする手前で、小刻みにシフトペダルを掻き上げていくと、力無く、それでもするすると静かに進むRM。路面の凹凸を拾い上げる軽い車体は、体がよく覚えていた。

ピストンだけじゃなくて、クラッチも新品だから、得意の半クラッチはしばらく“お預け”。持てる力の半分も出していないRMが、それでもインフィールドのテーブルトップを軽々と跳び上がれるのは・・・PURE TECHでオーバーホールを済ませたリヤサスペンションのおかげだ。このRMを下ろして、まだ慣らしながら走っている時・・・だらだらと進入しても跳び切れたフィニッシュテーブルを思い出す。アノ時は、今とは逆回りだったけれど・・・。まだエンジンをいたわりながらスネークヒルを折り返すと、maedaさんが午前中の最後を、チェッカーで知らせていた。

<つづく>