Hard Times

まだ、まどろんでいる薄灰色した朝。シロとネロに引きずられていく田んぼ道に、いつものひばりが空に上っていた。今日は、二羽で合唱。伴侶でも見つけたのか、時々甘えたように長い声で鳴いている。その黒く小さな姿を見上げて大きく息を吸い込むと、湿り気を多く含んだ空気が、喉をしっとりと流れて胸の中に満ちていく。足下には、雑草の緑が日ごと増えて、微かな春がじんわりと触れられるところまでやってきた。もちろん、いつもの厄介者を連れているけれど・・・。

この陽気に、いつもなら「命短し、恋せよ乙女」なんて口ずさむ気分だけど、昨日の“残り香”が漂っているのか、マスク越しの鼻が片方だけ詰まってきた。思わず「Hard Times!」とつぶやく。KISS『DYNASTY』に収録された、エース・フレーリーの手によるナンバーは作りがえらく簡単で、酔っ払っても弾けそうなリフも呑兵衛のエースらしい。もしかしたら、ポールよりもジーンよりも、KISSらしい曲を書くのがエースかもしれない。つらい時・・・まさに、それは今。

The hard times are dead and gone

But the hard times have made me strong

早くくたばって、どこかへ行ってくれ!

それでも花粉症は・・・消えて無くなることはないし、ワタシを強くすることもない。