じゃあ、来週 5(完)

<3/6の続き>

チェッカーが振られて、次々とパドックへ戻るマシン。コースで走っている勢いを引きずったまま、高揚した気分で帰ってくる。跳ね上げる泥をかけられないように用心しながら、水のないところを選び、ぬかるみを縫って歩く。ジグザグに、バラバラな歩幅だ。Bongoまで戻って突っ立っていると、賑わう洗車場を背にしてざりままが手を上げて近づいてきた。「場所、あるかなぁ」すっかり場所取りが終わってしまった第一パドックを、とぼとぼと歩き出す。「空いてる!」と思っても、しっかり“縄張り”されていて、入り込むすき間はどこにも見当たらない。受付まで引き返してくると、場所取り用のペグとロープ、ハンマーにハサミの入った白いビニール袋を下げて、第二パドック目指してスターティンググリッドの後ろを回っていった。場所取りも、楽じゃない。

koha-chanのママに「えっー、走らないのー」と責められても、立ちすくんだ足の周りから水が浮いてくるようなパドックに、CRFを降ろす気にはなれなかった。おまけに、大人のワタシには走行が終わる度に、マシンをきれいにしてくれる人も居ない。「じゃあ、来週!」saitoさんとざりままと、saitoさんは半分祈るような声で、ざりままは気分が乗らない声で、三人が手を上げる。日曜日の関東選が終われば、いよいよMCウィークの始まりだ。iguchi師匠と「Loc-Xで勝負しよう」と話しているし、MC組にも笑われないようにしないといけないし。そんなことを考えながら運転していて、WESTWOODの店先に並んだスクーターが見えるところまで来たら、ふと買ったままにしてあるMAXIMAのフォークオイルを思い出した。駐車場に入ろうと下ろした右のウインカーを戻して、そのまままっすぐ走り抜ける。家に帰ったら、RMのフォークオイルを交換だ。もちろん、フープスで師匠においていかれないために。