AWG-101

赤い短針が眼を惹く意匠。どこか“レブカウンター”を思わせる表情だ。よく見ると秒針は省かれていて、文字盤に三つある小さな丸目のひとつが、デジタル数字を刻んでいる。全体が“ソーラーパネル”の盤面で、電池交換は要らない。おまけに電波で正確な時刻を手に入れるから、長針と短針が狂うこともない。およそ時計としては十分すぎる機能を、頑強な筐体が大仰に包んでいる。円形と曲線の造形は、無機質な機械然とした振る舞いを、ただ見せていた。黒い硬質なベルトが、程よい薄さで右の手首に絡みつく。

壊してしまったり、失くしてしまったり。携帯電話に“代わり”をさせたりもしてきた。そんなことを思い出しながら、硬くてゴツゴツした円形をひとまわり、指の平でなぞってみる。見た目よりもずっと肌触りがいい。自動巻きとか、革のベルトとか、自分と同じように少し“歳を食った”ように見えるものを探していたはずが、手にしたのは真逆だった。CASIO G-SHOCK「AWG-101」。G-SHOCKの中では安価な部類に入るそれは、「これじゃなければいけない」という選び方をしなかった。それなのに、届いてみたら、まず、その短針にやられた。はめ心地も悪くないし、何よりアナログの針がイイ。

これからしばらく・・・いや、とても壊れそうもないから、これからずっと。ともに時を送っていくのかもしれない。そう、こっちが先に壊れるまで。