コタツでのんびり『相棒』三昧

浅く張り出した出窓の軒に、落ちた滴が音を立てている。カーテンの向こうでは、アスファルトに落ちた雨が、いくつもの小さな水たまりを作っているのだろう。クルマのタイヤが、その水たまりを蹴り飛ばしていく音が、不規則に続いては遠くに消えていく。カーテンを開けて、ほとんど期待していない空を見るまでも無かった。雨。そして、遅い朝。このところ、まったくいいところのない週末が、同じようにやってきた。

インスタントコーヒーの“おかわり”を入れたり、リビングの床に掃除機をかけたり・・・。冷たい雨音の漂う外へ出るのは、どこかおっくうで・・・いつまでも部屋でうじうじしている。玄関でシロとネロが甘く鼻を鳴らしていても、気づかないふりをして、テーブルの上で醒めかけたコーヒーを一気に飲み干す。それから30分も時間を潰してからようやく、二本の赤いリードを握り締めて・・・ゆっくりと玄関のアルミ扉を開いた。

天気だけじゃなく、年度末の忙しさで走りたくても走れないiguchi師匠の涙なのかもしれない。つば付きの帽子を覆ったベンチコートのフードに、冷たく雨が落ち続ける。アスファルトを折り返して、いつもの田んぼ道。その雨に向かって、ヒバリが鳴いている。その声は、湿り気も無くて、乾いた春の響きだった。ひと雨ごとに春めいて・・・そんな明日を懲りずに期待しながら、今日はまた“巣籠”の土曜日・・・。