Separate Ways 1

ひと月以上も時間があれば・・・大事なことから離れなければならない理由が起きても、そう不思議はない。

車長の違うKX85ⅡとXR230をryoのcarryに任せるのは、ちょっと不安が残る・・・だから、KXはBongoに詰め込んで運ぶことにした。昨夜のうちに積んでいた工具箱やモトクロスブーツ、10Lのガソリンタンクを一度クルマの外に下ろして、ガレージに残っていたKXをRM85Lの隣に寄せる。コースに行くのもひさしぶりなら、こうして二台が揃うのも、ずいぶん昔のような気がしてくる。思えば、去年のことだ・・・。積み直していたら、予定を10分過ぎてしまった。7時10分。ゆっくりとバックさせて、Bongoを車道に出す。太陽はその気配だけを東の空に浮かべていた。

バックミラーの中、主人のいないKX85Ⅱの緑がRM85Lの隣に映っている。フラフラと揺れているのは、RMの方。傷んだアスファルトをいい加減に補修した痕に、Bongoが乗り上げる度、車体はちょっとした騒ぎになる。その度に、RMを固定している唯一のタイダウンが、たるんで、また張ってを繰り返す。その左隣、KXのハンドルバーにかかったタイダウンは、ピンと張ったままだ。予報では晴れると言っていたけど、太陽は黒っぽい雲の向こうにずっと隠れている。雨は降らないけど、二月並みの気温で寒い・・・下ろした運転席の窓から外の空気が頬に当たって、納得した。

<つづく>