雨が我慢をすれば、今度は・・・

雨戸のすき間をこじ開けるわけでもなく、規則正しく波形に刻まれたその外側からアルミサッシをまとめて掴んで、わさわさと揺さぶり激しく音を立てる。夜中になっても、真冬を思わせる風音が枕元の出窓に砕けて、ガラスがぎりぎりと軋むような震えを伝えている。雨は土曜日、午後になってから・・・「早めに走ってしまえば」と、春の南風で温んだ空気の中、気持ち良く寝ついたはずなのに・・・まるで、わかってない。電線がぐいんぐいんと大きな唸りを上げていて、半端に熱くなった掛け布団にくるまり、すっかり目が冴えてしまった。右肩を下にしたり、上にしたり・・・まぶたを強く閉じたところで、耳に届く野蛮な感じは消えない。ひとりでぐるりぐるりと回っているうちに夢うつつ。すぐにまた、鼓膜に風が響いて、目を開かされる。頭の横で“スリープ”になったままのスマートフォンを手に取り、右横、一番上のボタンを押しこんで画面を明るくさせると・・・薄く4:58の文字が浮き出てきた。あと1時間で、ここからやわらかな電子音が聞こえてくる。でも、もう、MX408へ行くのはあきらめていたから・・・アラームを“OFF”をして、スマホとは反対側、左肩を下に寝返りをうち、はだけた右肩に掛け布団を引っ張り上げる。風はうるさくなるばかりだけど・・・さっきよりもすんなりと眠りに落ちていった。