まぶしくて、ぜいたくな午後 1

田んぼの隅に残された昨日の雨に首をかしげながら、Bongoを走らせていく。信号につかまっても、先頭で停まれるほど、クルマが少ない。いつもの週末より1時間30分も遅く走る往来は、人が動き、自転車が流れ、20台ほどのバイクが国道の脇にたむろしている。今日から四月。何かが生まれ、始まるのを楽しむように、雲間から光がこぼれ、通りにあふれていた。

買った時のまま、Bongoのちんけなスピーカーでも、そのヴォーカルは鼻にかかって聴こえる。I’m back, back in the New York groove・・・中学生のころ、4人まとめて1万円も出して手にしたKISSのソロアルバム。解散のきっかけになった4枚も、今は仲良く1枚のMDに収まっている。ポール、ジーンの次、エース・フレーリーの投げやりなヴォーカルは、浮かれた気分にしっくりとくる。

Auto wahを抜けたエースのギター・ソロ。単純なbeatとlooseな旋律も、目の前を照らす底抜けな明るさによくからむ。取手の市街地を過ぎ、利根川沿いに上がって、向こう岸に清掃工場が見えてきた。細い煙突が、水蒸気を白く、ただ真上に吐いている。どうやら風はおさまったらしい。遅れついでに、開いたばかりのWESTWOODで部品を受け取って、MX408に急ぐ。太陽は、少し高く上がり、運転席からは見えなくなっていた。

<つづく>