乾いた週末 2

<4/8の続き>

あれから五日だけなのに、マシンが駆けるたびに土埃が舞い上がる。路面がかすむMX408を見たのは、もう何ヶ月前のことだったろう。おかげで、持ってきてはそのまま持ち帰っていたSIDIの新品を、やっと試せるようだ。イバMOTOの最終戦でsaitoさんに引き当ててもらって、ryoが着るはずだったoneのウェア。黒地に青のグラデーションは、今年の“本番用”としてワタシが着ることになってしまった。それも「今日なら大丈夫!」と踏んで持ってきている。フルサイズマシンにsaitoさんのチェッカーが振られ、入れ替わりに85/150クラスのマシンが、コースにどんどん入っていく。子どもたちが多いと、このクラスは・・・2ストの甲高い排気音に包まれる。#3を着けたYZ250Fがコースを離れる姿を目で追い、斜面を駆け下りる。靴底が不用意にすべって転ぶことも・・・今日はない。

少し風が出てきて・・・雲の中に太陽が入ってしまうと、肌に冷たさが触れていく。春先らしい、ちぐはぐな演出にもずいぶん慣れたはずなのに、Tシャツを脱いで両方の肘にガードを通している間に、二の腕の裏から脇腹にかけて、鳥肌が立ってしまった。モトクロスジャージを手に、風を避けながらBongoの後ろに回り込み、あわてて襟ぐりから頭を出して、袖に冷たくなった腕をすべらせると・・・ブツブツが浮き出た肌に、化繊のさらりとした感触が伝わり、ほんわかしてくる。ちょっと引っかけただけで簡単に破れてしまう生地でも、少しは太陽の代わりになってくれるらしい。走っているのかいないのか、遠くにいてはわからない50ccクラスが終わって、二巡目。再びフルサイズマシンの出番になった。関東選手権で鍛えられたニセmanabuの走りを見物に、こちらも再び、スネークヒルの斜面へと歩いて行く。足下のSIDIのブーツを慣らしがてらに・・・。

<つづく>