乾いた週末 3

SIDIのX-FIREは、これで3足目。サイズと良い、動きやすさと良い、これ以外のブーツを試す気にはならない。もちろん、westwoodの名物店長kuboちゃんからの“魅惑の招待状”が無ければ、絶対に手を出さない上物だ。新品だから足首の動きがぎこちないけど、下ろした時から普通に歩けるモトクロスブーツは、このX-FIREぐらいのもの。一日を棒に振る覚悟で慣らさないと・・・ライダー憧れのalpinestarだと、こんな感じだ。親指の付け根に力を入れるようにして、いつもよりもきれいに足を運んでみせる。坂の斜面を上がる時にも両足首の関節がいつも通りに動いてくれて・・・これならシフトチェンジに気を遣うことは無さそうだ。

スネークヒルの下りに立ち、めずらしく2ストの高音が混じったフルサイズクラスを望む。音の主YZ125の後ろから、同じYAMAHAブルーに染まったYZ250Fが迫ってきた。ニセmanabuだ。MX408の“主”とも言われていたのに、今年に入って、なかなかその姿にはお目にかかれないでいた。白を基調としたD.ベイリーレプリカのウェアが、ふくよかな体をさらに大きく見せている。後で訊いたら、モトクロスパンツの「ウエストが緩くなった」と自慢げに話していたけど・・・遠くからの“眺め”は、去年と変わらず、ボテっとしていた。同じクラスを走るカワサキ#31さんのKX250Fをかわすところまでは格好良かったのに・・・すぐにスロットルグリップから右手を放して、休んでしまうのも相変わらずだった。

コース脇に気を取られては、YZの加速も鈍って・・・こんなところも相変わらず。そうそう人は変われるものじゃない。それでも、この男が居るのと居ないのとでは、コースを渡る風も、ずいぶん違う匂いがする。花粉よけのマスクを外した鼻孔に、土の粒と焼けたオイルが入り混ざった、マシンの息吹が入り込んできて・・・やにわに走りたくなってきた。

<つづく>