#357~その2

It's alright if you want me

It's alright if you need me

Girl, if you want me to stay for the night, it's alright!

当時はA面のラストを何度も聴いていたけど、今日はIt's Alright。ここ最近は、聴くのも歌うのも、元気が出るところに落ち着いている。陰りのある曲は、どうにもやる気が出てこないから・・・そんな若くて明るい声の裏側から、遠い制服の時間と一緒に、クセの強い短い黒髪がぼんやりと浮かんでくる。彼女の好きだった詞、今でも覚えているのはどうしてだろう・・・。Love isn't sorry and pain・・・B面の3曲目、Love In Chainsの一節だ。今じゃ“Love”がどうしたなんて、口にできないけど、誰しもそういう日を過ごしてきているはずだった。teruちゃんに、逢ってみたい。そして、気恥ずかしいけど、こっそりと昔の話なんかしてみたいものだ。今でも覚えているか、少し心配だけど・・・。

春の陽射しに誘われ、ずいぶん腑抜けたことを思いながら、県道を折れていつもの農道へと降りていく。アスファルトの補修痕を通過するたびに、Bongoの中でCRFが小さく揺れる。助手席側に大きく傾げたマシンは、ハンドルを右にいっぱいまで切られていて、ゼッケンプレートの357が斜め上を向いている。首を直角に曲げて、顎を少し上にしゃくり、そのまま視線だけを前に投げる・・・CRF150RⅡのフロントは、そんな格好に近い。ちょうどバックミラーを隠すように、「ふん!」とでも言いたげな357に、素直じゃなかった主nuraの面影が浮かぶ。「たくさん乗ってあげないとね、その人の分まで」この前uchinoさんに言われたのと、「マディ用に」と奴が言っていたのと、ごっちゃになったまま、今日は赤いマシンを積み込んできた。

相変わらず、後方の視界を奪っては、斜に構えたままのCRF150RⅡ。後部座席に腰を深く落としては、何かと悪態をつく“本人”を乗せているような、そんな気がしていた。

<つづく>