#357~その3

「来ると思った」

13時を回ってから到着したコースの受付。階段から下りてくるなり、片手で申込書を差し出して、saitoさんが明るく笑う。こちらも口元をゆるませながら、走り書きした申込書と一緒に、westwoodの会員証とMX408のメンバーカード、そして“魔法の券”をバインダーに挟んで、そのまま窓から手を延ばす。kidsのレースが終わって、パドックは、練習熱心なMCライダーで結構な賑わいだけど・・・ここから見えるスネークの斜面は、濃い褐色にくすんでいて、午前中はかなりしんどいコースだったようだ。「だいぶ乾いたから・・・少しはいいんじゃないかな?」木製のテーブルに左手が突っ張って、右手で細かく書類を処理しながら、普段の調子で、そう教えてくれる。それでも「スネークの上りを攻略に来た」ことを話すと、「今日はちょっと・・・」と首を傾げるsaitoさん。土曜日に降ったばかりの雨は、そう都合良くは乾いていないらしい。後ろを詰めてくるトランポもいないし、窓から身を乗り出すように話を続けていると、ニコニコしながらざりままが寄ってきた。13時はとうに過ぎているのに・・・まだ着替えてもいない。「こいつらも午後からか?」でも、ざり家にしては・・・めずらしい。

<つづく>