フリー&フル 3

先にマシンを用意したのは、iguchi師匠。ただ、そこからが長かった・・・体はもちろん、二カ月ぶりになるのはCRF150RⅡも一緒らしい。前から後ろに回って、タイヤの空気圧を確認している。タイヤゲージに落ちるのは真剣な眼差しだけど、その瞳は、いつもの半分ぐらいしか開いていない。やっぱり眠いんだ。カーキ色のジャージ姿で、赤いマシンから離れようとしない師匠を後目に、Bongoの中、一足先にコースへ入る準備を整える。今日の仕立ては、白が際だつoneの春モデル。と言っても、一年前の旧いやつだ。フルサイズに乗る常連さんとカブってしまったウェアも、肌寒い曇天には、どうもうまくない。十分似合う時季のはずなのに・・・どこか季節を先取りし過ぎてしまったような色をまとって、Bongoのバックドアから外へと降りる。ブレストガードの上にネックブレースを着けて、VFX-Wに頭をねじり込ませる。RMからサイドスタンドを外すと、しっかり9時からコースに出ていたカワサキ#31さんが、入れ違いにパドックへ戻ってきた。「乾いているけどカラカラじゃないし・・・湿り具合が絶妙!」と笑うその路面へ、RMのフロントタイヤを向ける。

<つづく>