お散歩日和

月曜日まで取っておければいいのに・・・。雲のない青い空には、太陽がギラついている。右のわき腹のところに「MADE IN U.S.A」のタグが付いたTシャツ。いつまでもゴワついている白い一枚に、くすんだ緑色の綿パンを履いて、玄関を開ける。濃いブロンズ色の扉に沈んでいた空間に、パッとまぶしさがあふれる。春を過ぎて、天空の通り道をどんどん高くしている太陽は、外にあるものに等しく光を注いでいる。まだ冬の毛が抜けきらないネロの背中から、糸くずのような白い毛が、淡い風にさらわれるように、ゆらゆらきらめきながら、アスファルトの上を流れていった。光の中、ネロが動くたびに、ちょっといびつな天使の輪が、その表情を変えていく。昨日の雨が無ければ、出かける用事が無ければ、青がかすんだ東の空の下、はっきりとした緑の土手まで歩いていけたのに・・・リードを持つ右腕と左腕を、バラバラに引っ張るシロとネロには、どうでもいいらしい。ポンプから勢いよく吐き出される井戸水が、田んぼの水面を揺らしている。水に浮かんだ小指の先ぐらいの葉っぱ。透き通った水の下、楕円の光の輪になって、土に落ちていた。すぐ隣に、ちいさな太陽も浮いて、漂っていた。この時期の光は、生きが良くって、うれしくなってくる。XR230を手放したのは、少し早まったことをしたようだ。散歩できるバイクが・・・ほしくなった。