イバMOTO 2

天気予報から想像していた空よりも、少しだけ明るい灰色が、丸く広がっている。東と西のちょうど真ん中あたりが薄くなっていて、そこだけ白っぽく光が漏れていた。朝から降っていないだけマシだし、「もしかしたら・・・」と期待してしまう空の下、7時きっかりに家を出る。助手席にはryoが収まり、「冷たい雨が降る」と聞いてレインウェアやら、予備のブーツやら、雨支度の数々も一緒に詰め込んで、Bongoが重そうに走り出した。黄色のRM85Lしか載っていないけど、1時間20分の長旅に、日本語が話せる連れが居るのはありがたい。比べるのはどちらにも悪いけど・・・さすがにネロじゃあ、こうはいかない。宝珠花の橋まで上がると、遠く、筑波の山影が雲に消し込まれていた。

フロントガラスにばかり意識が集まっているせいか、二人とも口数が少ない。距離だけが増えていく。利根川に沿って走る農道に出ても、空は雲に覆われたまま・・・ところどころに色の濃くなった灰色が混ざるようになって、さらに言葉が出なくなってくる。LADY GAGAのヴォーカルが、妙にからりと耳に響く。取手の市街地、車道と歩道の段差には細長く水が溜まっている。数日前の雷雨の名残か、それとも昨夜雨が落ちたのか・・・まったりとした空は薄灰色で、上にも下にも明るい兆しが全くない。「持てばいいね」・・・ryoの口から出た言葉がすべてだった。もう一度利根川沿いに続く路を上がっても、フロントガラスの先に視界が開けるだけで、空に色は無かった。

<つづく>