イバMOTO 6

スタート直後、勢い余った450ccの青いモンスターマシンを、インに盛られた土に乗り上げたtonny。今年からサンデークラスを卒業、オープンクラスを最後尾から追い上げるニセmanabu。その無謀な挑戦は、4レース目で「ミニモトオープンクラス」を走るワタシも同じだ。散水した路面にとまどうことなく、轟音を引きずり回して先頭を争う5台。集団と化した接近戦を目で追う後ろで、#3のYZ250Fがひたむきに前を追い駆けている・・・ただ、その距離は、時間が経っても詰まらない。いつもならさっさとあきらめて、周りに面白おかしく“どんべ”を演じてみせるのに・・・どうやら今日は気分が乗っているようだ。無駄に脇目を振ることなく、まっすぐ一台前を行くCRF250Rだけを見つめ続けている。そして。10分後・・・土埃の上がるフィニッシュラインで、真っ先にチェッカーフラッグを受けたのはtonny。MX408の“常連”は、面目を施し、満足気にゴーグルを外してパドックに凱旋だ。半周以上遅れて、ニセmanabuがスネークヒルから下りてきた。コブを二つ跳び越して、ホワイトモンスターへ・・・そのままYZ250Fが砂にすくわれ、やわらかく右に倒れる。これが演技なら、役者の腕前だけは、確実に上がっている。陽射しの中、Tシャツの奥の方がちょっと熱くなってきた。

<つづく>