イバMOTO 8

ローズ色のゴーグルレンズに、路面からの照り返しがにじむように光る。nakaneさんにmukaさん、nagashimaパパ・・・隻眼の蒼い獅子だけは特別かもしれないけど、まともに走って適うはずもない連中が、オープンを走るワタシの相手だ。せめて一周目ぐらいは、その姿を見失うことなく、同じ景色の中で走りたい。そのためにも、スタートは外せない。5、6・・・あっけなくスターティングバーが落ちて、すぐに左指が反応した。出足は、悪くない。いや、両隣のマシンよりも前にフロントタイヤが出ているから、上手くいったはず・・・だった。良かったのは最初だけ。その後の半クラッチが、長かった。興奮すると、いつまでも半クラッチを続け、クラッチレバーから指を離すのが遅くなる・・・コーナーの立ち上がりでも一緒。少しも直らない、悪いクセだ。砂塵に包まれ、第2コーナーで行く手を阻まれ、気がつけば8番手で第3コーナーに向かうストレートへと抜けていく。スタートをただ一台、大外から回りきった#2のCRF150RⅡは、第4コーナーの影にもう見えなくなっていた。

<つづく>