イバMOTO 9

まったく余裕のない展開、一気にカラダが熱くなる。okano師匠は上手く決めたらしく、目の前の集団の先頭にちらっと後ろ姿が見える。何も聞こえなくなった耳の奥で、心臓の音が大きく響く。送り出された血液が頭の中に充満して、ヘルメットがこめかみを締めつける。思考は止まり、上下に暴れる細いシートに尻を叩かれ、ただ前に散らばるマシンのすき間だけを見つけ、フロントタイヤを合わせる。充血しているはずの瞳が、師匠よりも先にmatsunagaさんのYZ85LWを捕捉した。

第4コーナーをインとアウトの真ん中から立ち上がり、テーブルトップを跳び上がる。直前に跳び出していったYZが、そのまま左に流れる。少し遅れて斜面を離れたRM。テーブルの脇に、ニセmanabuが立っていた。その彼を左の足下に捉えてテーブルの上に着地、そこから小さく右に回る。フープスに、青と黄色のマシンがほとんど横並びで入っていった。ひとつ大きく息を吐いて、ハンドルを引き気味にコブの連続を走り抜ける。8つ目のコブから跳び下りたのは・・・RMのフロントが先だった。

<つづく>