イバMOTO 11

周回ごとに差は詰まり、赤い車影が少しずつ大きくなっていく。そのほとんどは、フープスの出口で作られる。ロングテーブルトップで、チームメイトの声援を見下ろすokano師匠。後を追うようにして跳び上がったRMが、フロントタイヤ半分くらい、遠くに落ちる。ここでも少し、CRFのテールが近づいてくる。後ろに着いたままにされるか、その前に出られるか・・・それは、どちらの気持ちが“強い”かだ。どうしても“気弱”になる逆バンクで、ちょっと前に行かれて、その先のダブルジャンプで、その分を取り戻す。いつもの練習走行に、緊張感をまぶした“接近戦”が始まった。オープンクラスにエントリーしたからには・・・師匠と言っても負けるわけにはいかない。

フィニッシュラインでmachi-sanが、第1コーナーでsatakeさんが、二台のマシンに腕を回す。絶対にインを譲らないし、そのワダチで立ち止まったりもしないし・・・ワタシが勝負できるところは、そう多く無い。第2コーナーから第3、第4コーナーを、CRF150RⅡとまったく同じラインで走る。ほぼ同時にテーブルトップを跳び出して、“ここ”と決めたフープス・・・そのひとつ目のコブに向かって、右手を大きくひねる。師匠の背中が、すぐに近づき、左横に並んだ。車体がまっすぐ前に向いているのはRM。揺れるCRFを途中でかわして、出口の左コーナーを目一杯、外側の端まではらんでいく。インから届く4ストの轟音は、少し離れていった。

<つづく>