梅雨の晴れ間に 6

見通しが悪く、狭い入口からコースを横切り、ゆるやかなヘアピンカーブの外側に走り寄る。逆回りになったから、左に曲がって、まっすぐ駆け下りていく感じになる。反対に、今、渡ってきた直線は、奥から上りながら延びていて、低くて長いテーブルトップジャンプを跳び終わると、入口の先で90°右に曲がる。その先にあったジャンプは、パドックから一番近くて、みんなが見に来るところだ。当然、逆から進入することになる、そのジャンプは・・・ダブルのキャメルから、シングル崩れのステップダウンに変わっていた。恐怖はしないだろうけど・・・85マシンで跳び越すには厳しい距離が、そのまま置かれている。日向の路面は、湿り気が少しも残らずに、白くカラカラに乾いて見えた。指先ですくい上げると、さらっとこぼれて、風に溶けていく・・・ここだけなら、何も心配はいらないじゃないか・・・良く晴れた半谷に、黒い影が落ちる。さらに気持ちを昂ぶらせるように、耳障りなやかましさで破裂音を響かせ、RM-Z250が近づいてきた。オヤジさんだ。こちらに手を上げると、うれしそうにリヤタイヤをすべらせ、砂を撒き上げていった。

<つづく>