I'll be back 1

風がよく吹いた一日。子どもたちのレースが終わるのを待っていたら、ひと月ほど開いてしまったMX408も、しっかり風に包まれていた。時間が経つにつれて、雲も高く、少なくなっていって・・・乾いた青い空に、太陽がぎらついていた。3時30分が過ぎて、一台また一台とトランポが居なくなるパドック。風が地面をさらい、土埃を立てる。冬に見かける風によく似ているけど、今は夏。それに、まだ梅雨も明けていない。これからが本番だ。削り取られたホームストレートへのジャンプに、明日もう一度来ることを約束して、iguichi師匠のハイエースに続いて細い砂利道を走っていく。乾いた、薄茶色の埃が、扁平のタイヤに絡まるように低く舞っていた。

お店に寄るのは、MX408以上に間が開いている。それでも今日は、4cm角ほどの領収書を“魔法の券”に変えてもらうのに、どうしても立ち寄る必要があった。がらんとした駐車場、濃紺のハイエースが停まった左隣に、ゆっくりとBongoをつける。そのまま、師匠よりも先に店の中に入ると、いつもは効きの悪い冷房が、さらりと体の表面を撫でていった。カウンターは無人、「どうしたのかな?」と店内をウロウロしていると・・・一番奥のオイルが陳列されている隅っこで、何やらうごめく姿と女性の話声が・・・。今日は大きいのと細いのと、どちらもアルバイト中らしい・・・二人が揃うのは、ずいぶん前の記憶しかなかった。

<つづく>