One-eyed hawk 1

着替える動きを加速させていると、今度はmachi-sanのCRF150RⅡに火が入った。師匠のマシンよりも、少しだけやかましいのが特徴だ。すっかり二人に遅れてしまった。さらに支度を急いでいると、無駄な動きもずいぶん増えて、頭がよけいにフラフラする。まだ走ってもいないのに・・・カラダが、じっとり汗ばんでくる。そんな二人の前に、さっき出て行った師匠が舞い戻ってきた。早くも上気した顔で、何かつぶやいている。どうやらエンジンに不満があるようだ。ヘルメットも脱がずにドライバーを手に取ると、エアスクリュをいじり始める・・・このマメさが速さの秘訣か?何となく半クラッチでごまかしていてはいけない・・・。

すぐにコースへ復帰した師匠を追うように、machi-sanの排気音が、パドックから離れていく。いよいよRMのエンジンを揺すり起こし、右手でスロットルグリップを小刻みに動かしていると・・・そのmachi-sanが早々と帰ってきた。おもむろにヘルメットを取ると、こちらも上気した顔で、そして笑って「こっちはマシンじゃなくて、人間の方に問題!」と一言。あっけらかんと素直な台詞が、machi-sanらしい。その笑顔に見送られながら、ようやくRMを連れてパドックを後にする。どうも中間辺りのフケが悪い・・・メインジェットを変えてこなかったのは失敗だった。

<つづく>