One-eyed hawk 2

スタートラインがグッと前にせり出して、苦手だったチェッカーとホームストレートをつなぐ山も消えていた・・・。箱庭のようにこぢんまりとしたホームストレートを蹴り出して、RMが第一コーナーへ近づく。加速する間もなく、左、右と忙しい。閉ざされた空間でマイクを握っている間に注いだ雨の名残が、ほどよく路面を潤している。ただひとつ、スネークの入り口。短い日陰の直線だけが、ラインを選ぶことを許さなかった。

9時50分に一度チェッカーが振られて、10時からは3クラスで20分ずつの走行。とても20分は持ちそうにないから、二人に少し遅れてヘルメットをかぶる。二台のCRFを探しながらコースを走っていたら、赤いマシンの前に蒼き獅子と出くわしてしまった。“いぶし銀”という言葉を使える、ワタシにとって数少ない存在が、ゆっくりと確かめるようにバックストレートエンドの左を回っている。隻眼の獅子、nagashimaパパのYZ85LWよりも一回り小さな曲線を描いて、RM85Lが先に立ち上がった。

<つづく>