One-eyed hawk 3

そこから午前中いっぱい、nagashimaパパにしごいてもらう。力はあるけど、それを使って走るには腕が必要なYAMAHA YZ85LW。一昔前の、扱いにくい“気性”のエンジンは、良く言えば“玄人好み”だ。そのマシンを、派手に暴れさせるわけでもなく、静かに前へと運ぶnagashimaパパ。ワタシに優るものがあるとすれば、それは体力だけだ。午前中最後の一本は、ずっと後ろに着かれたままチェッカー・・・抑えこんだ感覚は少しも無くて、キンキンした排気音が背中からずっと聞こえていた。獅子よりは鷹の方がしっくりする・・・その“隻眼”に狙われた黄色いマシンは、逃げ切ることができなかった。RMを転がさないように加速するのが精一杯・・・その無様な姿を「じっくり見させてもらった」と言われて、ちょっとドキリとする。

額からの汗でも入ったみたいに、左眼だけが、つぶれたように閉じられている。パドックで薄く微笑む顔に、何だかそれが似合って見えた。7月最後の日曜日、折しも“8耐”と同じ日に、また相まみえることになる。右眼に残された眼光のように、鋭い走り・・・。あえて刺さなかったのは・・・次のイバMOTOを楽しみにしているのかもしれなかった。

<つづく>