Burn you like a midday sun 3

昨日は拡げなかった日よけテントの下、午後1時の時報を聞いて、両手を頭の後ろに大きく伸ばす。そのまま首を足下に向けると、ウェアをはだけた上半身に、じっとりと汗が光っていた。正面でイスの上に反っくり返っている師匠は、眉根を寄せて瞳は閉じたまま。午後イチはまったく走る気がないらしい。他の常連たちも、ほとんど同じだ。しかも昼休みにたっぷり散水しているとなれば。あと30分は誰も動き出さないかもしれない。子どもたちの一団と、見慣れない大人が二人ほど、エンジンを掛けてパドックの空気を奮わせている。テントの陰から這い出ると、それだけでカラダがとろけ落ちてしまいそうだった。

結局いいところの無かった昨日の走りを思い起こしながら、眠れる師匠をそのままに、ゆっくりとブーツをはめて支度を調える。両肘にプロテクターを付けて、無数の穴が開けられたメッシュ地のモトクロスジャージをかぶる頃には、額をぬぐうのもばからしくなるほど、汗だくになっていた。濡れた髪をタオルにこすりつけてから、VFX-Wを頭の上から押さえつける。午前中と違う感触は、素直に収まってくれようとしない。この熱で頭が膨張したわけでもないだろうに・・・こじるように無理矢理押し込むと、こめかみの辺りが鈍く痛み出した。

<つづく>