Revenge 2

午後の一本を走り終えて戻ってくると、寝ていられないくらい暑いのか、周りがうるさくて寝ていられないのか、テントの奥で師匠が目を開けていた。ただ、イスにどっかりと座って、すぐには走る気は無さそうだ。コッチも戻ってきたばかりで、とても相手にならない。散水後のコースが思ったよりも良かったことを伝えてから、saitoさん手作りの“井戸水シャワー”を浴びに、パドックの外へと歩いていく。蛇口をひねると塩ビ管に開けられた小さな穴から、何本もの細い水が流れる。風に揺らいで、かがみ込んだ背中にうまく落ちてくれないのがもどかしい。首すじから脇へと冷水が流れるように、カラダを前後左右に動かしてやる。下げた頭に血が集まって、フラフラになってきた。

陰の中、水と風にカラダが冷めていく。入れ替わるように走っていた子どもたちも、そろそろ戻ってくる時分・・・二人には、いい時間だ。ヘルメットにゴーグルを合わせ、今日も師匠を先頭にして連れ立つ二人。昨日よりも濃い影が、マシンの下で小さく後を追う。スターティンググリッドの前から、一瞬のすき間を目がけて、CRFが跳び出した。まだ息の荒いワタシは、その後ろ姿を見送り、一周待ってから入ることにする。そんなのんびりした視線に、アロハ姿のryoが映り込んできた。道に迷わなかったせいか、意外に早い戻りだ。フィニッシュラインの脇で、向こうもこちらに視線を投げている。二人の視線がからむ中間に、#129のCRF150RⅡが割って入ってきた。

<つづく>