Revenge 4(完)

表情がわからないryoの姿を正面にして、ロングテーブルトップを跳び上がる。ワタシよりも師匠よりも、ざりままが一番飛距離を出しているというのが、どうも気に入らない・・・。その車影を思い浮かべながら、逆バンクを回って、コース脇の二人がよく見えるように半クラッチで加速する。ダブルジャンプを越えて右から左。スネークの入口は、RMのフロントタイヤを、インのワダチに合わせていく。面食らったのは、師匠。当然アウトを回るものと思っていたのか、少しだけ排気がばらついた。前に出れば、ちゃんとインを守って走る・・・アウトバンクを抜けるのは、バックストレートの前と後だけだ。

ryoが見ていると、気持ちの入りもだいぶ違うらしい。やっぱりナノハナは、二人がイイ。一度バレかけた気持ちを助けてもらい、スネークヒルに向かって右手を大きく捻る。ヘルメットの中、外と内の熱気で息がしづらい・・・真上からは陽射しがぶつかり、灼けて熱を溜め込んだ皮膚が、上昇した体温にフタをする。逃げ場の見つからない熱気は、カラダの中に残るしかなくなっていて・・・強く吹き抜ける風も、コースの上では、ほとんど役に立たなくなった。膨らみたいのに膨らまない。その苦しみの中、先に右手を戻したのは・・・師匠だった。

第二コーナーを立ち上がり、ストレートから右手を見やる。CRF150RⅡは、スターティンググリッドから完全に消え去っていた。最後は“我慢くらべ”になったけど・・・勝ちは勝ち。リベンジ成功だ。その先、テーブルトップジャンプも、フープスも、バックストレートも、ダブルジャンプも・・・手を抜くことなく走りきって、師匠を交わした坂の頂上で、一度大きく息を吐く。そこから右手を閉じたまま、ゆっくりゆっくり下っていく・・・軽い逆光の中、小走りに近づいてくるryoがいた。