真夏の祭典! 2

曇り空を背に、大型の旅客機がゆらりと機体を翻して、似たような銀色の腹を見せている。成田空港は、すぐそこだ。田んぼのずっと奥にあるスネークヒルは、Uの字をひっくり返したような弧を描き、陽射しも無いのに薄茶色に光っている。運転席も助手席も、Bongoの窓は全開。そこから外へ、陽気なアメリカンロックのリズムが流れ出る。『KISS ALIVE Ⅳ』。メルボルンシンフォニーオーケストラを従えた一夜限りのライブは、キッスらしく趣向の凝った演出が続く名盤だ。曲は、第一幕のLet Me Go, Rock ’N’ Roll。2分そこそこの単純な曲調は、何も考えさえることなく、まっすぐに入ってくるところがお気に入り。ご機嫌なリフを聴きながら「こっちでもよかったかな?」と、思わず口元がゆるむ。単調な割に、えらく格好いいギターソロが挟まっていたりするのも、キッスらしくてイイ!

そのまま、車体ごとカラダを左右に揺らしながら、もそもそとコースの入口を乗り越える。前方に見えるポリカーボネイト製のサンシェードの下、MX408のコーススタッフが、こちらに手を振っている。その中には、揃いの黄色いカッターシャツを着たiguchi師匠も混ざっている・・・今日は、師匠もスタッフの一人だ。ホームコースらしい出迎えをすり抜けて、パドックに出る。一旦停まった窓越しにsaitoさんが、「oさんとfが来てますよ」と教えてくれた。モトクロスを始めたばかりに知り合った二人とも、もう一年以上会っていない・・・。ここに来る途中、okano師匠の家の前では、軽トラックの荷台にアルミのラダーが渡されていたし、パドックの一番手前には、YZ85LWと250Fの二台のYAMAHAを積んだnagashima親子のハイエースが停まっている。saitoさんが“呼び寄せて”しまったnakaneさんと城北RTの連中も、どこかに居るはずだ・・・。

イバMOTOらしい“あの頃”のMX408を思わせる、本番さながらの練習走行が・・・ちょっと楽しみになった。

<つづく>