あれから7日目の日曜日。 1

通り雨も通らず、突然にわか雨が落ちることもなく。表面の硬さは、もう、土のそれでは無くなっている。古びた散水車が、その灼けた土の上に水を降らせる。給油タンクの上に据え付けられたノズルから、白い放物線が伸び上がり、重力に負ける辺りでゆるやかに地上へと降りていく。焦げ茶色に変色したスネークヒルが、鏡のように陽射しを反射している。どこまでも平らで、磨きのかかった土は、水を吸い込むことすら忘れてしまっているようだった。

8月の第三日曜日、まだ暑い盛りの中で、MCFAJが開かれる。MX408に、また、MCの連中が帰ってきた。お盆休みがあるから、今日がちょうど前週。その割に、台数がそれほど集まっていないのは・・・この猛烈な陽射しのせいかもしれない。150クラスを走る連中は、見覚えのある顔ばかり。ori-chanにuchinoさん、abikoさんは親子揃って、itoさんもいる。その中に、コースでは遭遇したくない一人、パドックに居る時は気さくなmukaさんが混じっていた。

「iguchiさんが・・・あっちの、一番奥にいますよ」受付が済むと、saitoさんがスネークヒルの向こう、竹林の真下を指さしている。ひとさし指の先をたどれば、濃紺のハイエース。“今日”を約束したokano師匠は、もっと遅れているようだ・・・この熱にやられて、もしかしたらDNSかもしれない。 “ビジター”に占拠されて、ニセmanabuやtomobeさん、他のフルサイズ常連組の姿も見えないパドック。陽射しにとろけてしまったような、だらっとした雰囲気は・・・無かった。

すでに“クッキー”が外につながれて、上半身を露わにした師匠が、ハイエースの中からテントを引っ張り出している。ワタシの師匠は、二人とも暑さがからっきしダメだ。この前はすっかり身支度をすませていたのに・・・今日は、七分丈のパンツ姿のままだ。走るどころか、着替える気もないのは・・・容赦なく照りつける太陽のせい。まばらに浮かぶ白い積乱雲も、陽射しをさえぎる位置には泳いでこない。眩しいからなのか、テントから出ると眉根を寄せて夏空を見上げていた。

<つづく>