あれから7日目の日曜日。 2

いつもなら4クラス分けになるMCFAJウィークも、9時50分までは“クラス分け無し”のフリー走行。「それなら」と、一本目には間に合わないと諦めていた分、急いで支度を始める。噴き出す汗で、化繊のジャージが素肌にへばりつく。袖がすべらなくて、力を込めた拍子に破けてしまいそうだ。何とか着替えを終わらせて、RM85Lのエンジンに火を入れる。「たぶん10分も走っていられないはず」・・・saitoさんの読みは、半分だけ当たっていた。

ストレートにコーナーの立ち上がりに、ジャンプの着地に・・・そして、フープスのくぼみに。たっぷりと撒かれた水は、吸い込まれることなく、小さな水たまりを作っていた。濡れて濃い茶色をした赤土は、表面だけが湿っていて、タチの悪い振る舞いでリヤタイヤを弄ぶ。先週は具合の良かった散水も、今日は逆効果・・・MX408らしいと言うべきの、下手クソにはツライ路面があちこちに散らばっている。腕に力が入って、すぐに腕上がり。暑さなんて忘れてしまった。

それでもギリギリ頑張れたのは、ひさしぶりに見るMCエキスパートのkatoさんが遊んでくれたおかげだ。ベース色をとことん追求した真っ赤なCRF150RⅡの上、黄色地に黒のラインが入ったウェア・・・イタ車を思わせる色彩が、底抜けに明るい陽射しによく似合う。変更されたMX408を走るのは「今日が初めて」のkatoさんが、前に後ろに絡むから、ついついこちらも無理をする・・・「かつてないチュルチュル!」そうkatoさんがパドックで吐き捨てたように、暑さよりもあまりに神経質な路面に手こずらされる・・・。

そして、もう一人頑張ったのが、遅れてやって来たokano師匠。Bongoの横に停めた軽トラの窓を開けて、「今日は、死ぬな」と笑顔を向ける。これなら・・・「暑いから無理だ」と言っていたイバMOTOの第3戦にも、出てきそうな勢いだ。先週よりもさらに番手の小さいメインジェットを“買ってきた”と言うから・・・今日も本気で遊ぶつもりらしい。テントが作った日陰に、さらりと涼風が流れて・・・もう一度コースへ出て行く気になってきた。

ヘルメットをかぶってからRMにまたがるまでの間が、一番“日照り”を感じる。ただ、それも、走り出してしまえば、すぐに記憶の彼方・・・この暑さで、少しやられているのかもしれなかった。二人を待っていても、ゴーグルの中に汗が滴るだけだ。ホームストレートの上から適当なすき間を見つけて、クラッチレバーを静かに離す。“チュルチュル”の路面にも慣れたし、日向は埃が上がるほどに乾いて、コース全体が熱を帯びてきた。

<つづく>