あれから7日目の日曜日。 3

MCの、それもEやSEの上位組ともなると、その走りは、まるで熱病にでもかかったかのよう。仲間内でのバトル練習は、“練習”でも手加減しない。ココだと思ったら、容赦なく仕掛けていく。もちろん待つことなんて、一切無し。その急先鋒がmukaさんだ。バックストレートを折り返したところで、背後から4ストの排気音が塊のようにぶつかってくる。もう一度折り返して、大ジャンプの後、スパインを越える時には、一気に背中を包み込まれていた。

スネークの入口、RMのフロントタイヤをはじくようにして、インをこじ開ける車影。#115のCRF150RⅡは、mukaさんのマシンだ。“気持ち”が、ワタシのはるか上を行ってしまっている。ひるんだ一瞬、後に続いていた二台のホンダが、両脇から抜けていった・・・。散水直後になっても、彼らはちっとも変わらない。「あいつが行けるなら」「ココで背中を見せておかないと」・・・練習からレースを意識した駆け引きが始まっているのは、okano師匠も感心するほどだ。

午前中の最後に、そのokano師匠がRMの前を塞いできた。まったく、この気力はどこから出てくるのか・・・暑いのは苦手なはずなのに、“夏男”のワタシに付け入る隙を与えない。インをビシッと締めて、RMがたどろうとする円弧の上に、赤いテールカウルが揺れている。排気音がよどんで聞こえるのは、エアクリーナーエレメントにオイルを塗りすぎたからか?それでも、薄めのセッティングで懸命に逃げる。追いかけているRMの方が何度かバレそうになる。

フープスの真ん中辺りで前に出て、そのままバックストレートで引き離しにかかる。できればコーナーで仕掛けたかったけど・・・隙がないから仕方がない。「次もオープンに出るのか?」パドックに戻ってからの第一声は、しっかりと“やる気”だった。8月、今度も“最後”の日曜日に予定されているイバMOTOは、師匠の中でも“予定”に入ったらしい。これがCRF150RⅡと勝負できる最後のチャンスかもしれない。saitoさんに頼んで、同じクラスで走らせてもらおうかな?

<つづく>