debut

日曜の午後、15時になってようやく自由が生まれた。風に揺れる陽射しが、眩しくアスファルトを蹴りつけている。昼寝をするには部屋はあまりに暑すぎる。水浴び代わりの洗車は、昨日のうちにすませてしまった。草刈り機を使うには、まだ陽が高い。街を流せるマシンも、まだない。昨夏の出来事が夢でも見ていたかのように、キンキンに冷えた車両が頭に浮かんで離れなくなった。

40分も涼めば、身体も落ち着いてくれる。休日のこの時間、しかも上り電車なら、客席もまばらだ。返って肌が冷たくなってしまうかもしれない。そのまま北千住のルミネか丸井をぶらっとして、陽が傾いた頃に戻ろうと、始発の区間準急に乗り込んだ。送風口からあふれる冷気は、ドアを開け放していても、ひんやりと二の腕に当たってくる。

結局、北千住では乗り換えただけ・・・そこから業平橋駅、今は「東京スカイツリー駅」まで数駅、足を伸ばした。どこかアミューズメント施設を思わせるような白を基調に、駅舎はすっかり趣が変わっていた。それでも東京スカイツリーの足下に似合った雰囲気は出ている。改札を抜け、コンシェルジェに案内されるまま、長いエスカレータを伝って2階へ・・・威勢のいい声が飛び交う、下町のスーパーマーケットが、最初に出迎えてくれた。