軽二輪で行こう 5

<8/18の続き>

「10歳になったら」・・・その約束を守るため、一週間のタンデムツーリングを実現したのも、このSRV250。行き先は、夏の北海道。大洗からフェリーで苫小牧に入って・・・道央を手始めに道北、道東を回る、一週間ではかなり欲張った計画だった。テントこそ積んでは来なかったけど、シュラフ2つを無理やり詰め込み、全泊キャンプ。途中に海水浴まで織り交ぜて、父親としてできるだけの準備をしたツーリングは・・・雷雨で始まったことをよく覚えている。

雨を避けて“最北端”はお預けにしたけど、美瑛、富良野、網走、知床、標津、釧路と走り抜け、一度も雨の中を走らずにすんだのは・・・うれしい奇跡だった。屈斜路湖の砂湯に浸り、和商市場で手製のいくら丼を頬ばり、乳しぼりを体験させれば、乳牛の乳に遠くから腕だけ伸ばして、おっかなびっくり触っていた横顔は・・・5冊のアルバムに、順序よく並べられている。

たくさんの写真の中には、ただ、ただ笑顔があって・・・この笑った顔が、こんな出来になるとは思わなかったけど・・・幼く素直なところは、今もほとんど変わらない。走り出してしばらくすると、タンデムシートの上でこくり、こくり・・・カラダの割に大きなヘルメットが、SRV250のピッチングに合わせて、ゴツンゴツンと当たっては・・・左手が小さな腕をギュッとつかむ。道内のほとんどを、右手だけで運転していた気がする・・・。

<つづく>