真夏の祭典Ⅱ 3

視界の右隅、sudaさんが少し前に出る。「こんなところで離されるわけにはいかない」・・・と思う間もなく、今度は左の視界に、ハンドルバーが寄ってきた。握る右腕は、黄色のウェア・・・「海坊主だ!」。ジワリジワリと寄せてきて・・・悔しいことに、2スト85マシンが加速で負けている。いや、負けているのはRM85Lじゃない。気持ちの方だ。曰く「第1コーナー目がけてまっすぐに走っていっただけ。寄っていったんじゃないからねー」とうそぶくkiuchiさんに結局前をふさがれ、瞬間、右手を閉じる・・・一周少ないこのレース、外せないスタートだったのに・・・とにかく、出遅れた。挑むべきマシンは、すべて視界の中にばらけている。もう一度右手を絞り上げて、第1コーナーを立ち上がると・・・遠く、sudaさんの背中が、第2コーナーからテーブルトップジャンプに消えていくのが見えた。それでも,全員が見えるところに居る。転んだわけでもないし・・・ナノハナ劇場は、これからだ。まずは#9のCRF100Fを眼で捕まえて、その背中に短く加速する・・・。

<つづく>