真夏の祭典Ⅱ 4

どこをどうやって抜けてきたかわからないまま、レースは2周目。視界の一番上に、フープスの終わりから高速の左コーナーを、小さく回る影が映る。影の色は青、nagashimaパパだ。sudaさんは、そこからコーナーひとつ離れたところを走っている。どこかで交わしてきたのか、やっかいな海坊主もokano師匠もいない。三番手。クラス別なら、そう二番手。すぐ前のYZ85は、サンデークラス・・・だから後ろを走るのは、どうにもバツが悪い。バックストレート、青い車体を中央からインに寄せては、コーナーとコーナーのインを結ぶnagashimaパパ。考えられる一番良いところを、当たり前のように走っていく。同じ2スト、それもRMよりも気難しいYZなのに、スクータでも流しているかのようだ。真後ろでギャンギャン吠えるのを尻目に、ただ、ただ、静かに曲線を描き続ける。どこまでも涼しげな後ろ姿に向かい、熱くなっては、何度もリヤタイヤを滑らせてしまう。それなのに・・・やわらかな背中に引き込まれるようにして、気づけばただ後ろに着いてしまっていた。

<つづく>