ヘンテコリン

明け方に夢を見た。RM85Lで走っている夢だ。バイクの夢、しかも自分のマシンが出てくるのは、かなりめずらしい。長短が著しい長方形をした敷地。公園のような広場のような、とにかく子供たちが遊び見つめる中で、5、6台のバイクで“競争”が始まった。ワタシとRMは、その中にいる。タイヤの下には、ザラメのように白くて細かな石が、平らに敷き詰められている。歩くたびにザッ、ザッと音を立てる、都心の公園には割とよくある仕立ての路だ。バイクが5台、横に並ぶと、その路は完全にふさがれる。そんな幅の上で、どうやら周回レースをしているらしい。

RMが二番手で、直角のコーナーを立ち上がる。小さな石粒の下に向かって、エンジンからの駆動が寸分も損失無く、落ちていく。不用意に右手をあおっても、回転するリヤタイヤは、まったく滑らない。ただ、思い通りに加速しないだけだ。先行するのはkawasakiのZZR-1000。なぜかはわからない。夢だから?AL-Xフレームに濃淡の灰色をした巨体が、一瞬で小さくなる。そいつのリヤタイヤも、まったく滑ることはなくて、重そうな車体がまっすぐ前に突き抜けていった。長い方の直線で、その車影が消えかかる瞬間、辺りが急に明るくなって目が覚めた。開け放した窓から忍び込んだ風に、脚の先が冷たくなっている。思い当たる節がまったくない、ヘンテコリンな夢だった。