幸せになりたい

「ひとりきりだった悲しみと昨日を忘れて ここにおいで」

今井美樹のラストフレーズを口ずさみながら、庭から空を見上げる。夏の夜空に、月が白く浮かんでいる。やはり満月だ。南天の近くに上がった月は、闇に小さな円を描いている。その中で、もっと小さなウサギたちが、餅をついているようなついていないような・・・薄墨色の模様が、ぼやっと瞳に映る。今宵は「ブルームーン」。数年に一度、“めったにない=once in a blue moon”天体ショーが、空に宙がる。主役はいちばん身近なお月さま、てっきり月が青く染まるのかと、神秘的な情景を期待したけど、そうではないようだ。ひと月に二回、満月が見られるのは“めったにない=once in a blue moon”・・・つまり、「ブルームーン」というわけ。そのめずらしさから、「見ると幸せになれる」と言い伝えられているとか・・・。見るだけ!?そんな簡単なことで良いならと、ネロと一緒に外へ出る。南の空高くを見上げて・・・ひとりつぶやく。「渋滞は毎日、鳴らし合うクラクション、行く人はみんな急いでる♪幸せになりたい・・・ひとりきりだった悲しみと昨日を忘れて♪ここにおいで」・・・。

ネロのリードを垂らして、もう一回。幸せになりたい♪